前橋商議会時代(明治29年~明治30年)

前橋商工会議所の前身である前橋商業会議所が誕生するために、その産みの親ともいうべき「商議会」の歴史を、たどってみないわけにはいかない。

 

商議会は、日清戦争の翌明治29年に前橋市内の商工会の有志が集まって結成したものである。当時の前橋市は、製糸業を中心産業として、逐年発展し同業者も増加し、経営規模も拡張され、商域も広くなり、したがって業務の形態も多様化していた。こうした商工界の発展によって前橋の人口は、31,000を擁することとなり、明治25年に市制が施行され、群馬県最初の市が誕生していた。すでに他県の有力都市には、明治初年の大阪商法会議所を始めとして、続々と会議所が設立されており、そうした諸情勢を背景にして前橋市にも会議所の機運が成熟していたのであった。
前橋商議会は、市内産業の改良進歩を図るために市内商工業者が相謀り設立されたものである。しかしながら、製糸業はますます盛んとなり、物資の集散は繁く、商工業の発展日に新たなる前橋市の情勢は、もはやこの前橋商議会では、どうにも対応しえなかったというのが実情ではなかったろうか。